東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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目次
交通事故の被害者となり、示談交渉をしているけれど、治療費や通院交通費等の出費がかさんでしまい生活が不安になったり、示談金がもらえるタイミングがわからなかったり、あらゆる不安や心配が増えるかもしれません。
示談金はいつもらえるのでしょうか。
示談金を全て受け取ることができるまでには、示談が成立してから早くても2週間ほどかかります。
しかし、トータルの期間で考えると、示談金の受け取りには事故発生から1年以上かかることもあります。
特に後遺障害慰謝料が発生する場合は、少なくとも治療が終わり症状固定しなければ、慰謝料請求の範囲が確定しないので、時間がかかります。
しかし、事故後は色々お金もかかりますし、経済的な理由により示談金を早めに受け取りたい場合もありますよね。
早く示談金をもらいたいからといって、示談成立を急ぐのは被害者にとって不利になる場合があります。
一度示談書に署名押印をしたら、どんなに被害者に不利な条件であっても、示談書の内容を変更することは決してできません。
この記事では、このような場合の方法についてご説明します。
<参考記事> 症状固定とは?治療費や休業損害との関係
まずは、示談金が支払われるまでの流れや、示談が成立しているのに保険会社が示談金を支払ってくれない場合等の対処法等についてご説明します。
示談は絶対にやり直しが利かないために、多少時間がかかったとしても、納得のいく形で示談を成立させましょう。
示談成立後、示談金は最短でも2週間はかかります。
加害者加入の保険会社から示談書が被害者の手元に届くまでが数日。
次に示談書の内容を入念にチェックし、被害者本人が署名押印をして保険会社へ返送するのに数日。
最後に加害者加入の保険会社が最終的な手続を行いスムーズに支払いが行われれば2,3日。
このように仮定すると多少のズレはありますが、早くても示談金の支払いには2週間程度かかるのです。
示談成立後、示談書を取り交わしても、万が一保険会社から一定期間示談金が支払われない場合には、保険会社へ早めに問い合わせることをおすすめします。
多くの場合では、保険会社へ問い合わせた時点で、振込みの期日が決定しますが、それでも保険会社が支払いに応じない場合には、弁護士へ相談して交渉してもらうようにしましょう。
示談金の支払方法は一括と分割のどちらとなるのかも気になるポイントですよね。
原則として、示談金は一括で振り込まれるようになっています。
しかし、加害者にその金額を支払うだけの支払能力がない場合には、やむを得ず分割払いとなる可能性もあります。
示談金が分割払いとなる場合には、支払いが途中で滞ることがないように、連帯保証人や担保等の確認を十分に行うことが大切です。
原則、示談が成立して示談金が決定してからではないと示談金を受け取ることはできません。
しかし、示談成立前でも交通事故の損害賠償金を請求することができます。
その方法のうちの一つが、内払請求といって、示談金の一部を前倒しでもらえるように交渉することは可能です。
内払請求による内払制度は、自賠法上の制度ではなく、保険会社のサービスの一環として行われる制度です。
内払制度は、交通事故で傷害事故の場合にのみ、被害者は示談金が確定する前に、傷害の保険金額120万円を限度額として、10万円以上の支給を保険会社へ請求することができます。
治療が長引いてしまい、治療費や通院治療費の支払いによってお金の不安がある場合に用いることのできる制度です。
たとえば、これまでにかかった傷害慰謝料のみ前払いしてもらい、後遺障害慰謝料についてはのちのちの後遺障害等級認定申請の結果を待って改めて交渉ということができます。
内払請求をする際には、治療を受けている病院で発行される診断書や診療報酬明細書を取得し、それを保険会社へ提出することで請求できます。
また、内払制度には、支払回数の制限はありません。
なので、休業損害や治療費等の費用をその都度請求することになります。
しかし、頻繁に請求すると、請求の都度請求に必要な診断書や診療報酬明細書の取得の文書料がかかってしまうので、できるだけまとめて請求するのをおすすめします。
内払請求を希望される場合は、示談交渉を依頼している弁護士に早めに先に伝えておきましょう。
なお、注意点としては、内払金は損害賠償の内払いとなりますので、損害額が10万円以上に達している証明が必要となり、さらに、前払い金の金額で、後遺障害慰謝料を含めた慰謝料全額として合意したと解釈されないようにしておくことが必要です。
内払請求を利用してから、示談交渉を進める際には、示談書に、後遺障害慰謝料については、別途協議の上、合意するものとする、という趣旨の一文を入れておくようにしましょう。
<参考記事> 示談書の書き方 徹底解説
内払金と同じように、示談成立前に損害賠償金として治療費と休業損害を申請することで、月ごとに振り込んでもらえるのが「仮渡金」です。
この制度を仮渡金制度といいます。
仮渡金制度の流れとして、治療費については治療費の領収書を、休業損害については休業損害証明書・前年度の源泉徴収票を保険会社へ提出し、月ごとの仮渡金の振り込みを申請します。
仮渡金制度の注意点として、仮渡金の請求は1回のみと限られています。
さらに、仮渡金は仮に支払われるお金ですので、最終的に決定した保険金額よりも仮渡金の方が多ければ、その差額分を保険会社へ返金する必要があります。
仮渡金の限度額は死亡や障害の程度によって異なりますので、この点も注意が必要です。
示談交渉を被害者の有利に進めるために、自分で直接交渉を行うよりも、弁護士に相談して交渉を委任することで、より早く終わらせることができます。
特に、加害者や加害者加入保険会社との交渉では、提示された過失割合に不満があったり、後遺障害等級認定がされなかったりといった、被害者にとって不利な問題点も発生し、一層示談成立に時間がかかってしまいます。
しかし、示談金は示談成立によって得られる賠償です。
被害者が納得できる示談交渉をスムーズに進められるため、弁護士に委任することはメリットがあります。
また、弁護士が交渉に介入することで、被害者本人が交渉するよりも、示談金を増額できる可能性があります。
これは、示談金の算定方法が弁護士基準となるからです。
被害者本人は交通事故に特化していませんので、示談交渉がスムーズにいかず、ダラダラと交渉が長期化してしまうのです。
また、過失割合の修正、後遺障害等級認定等も本人ならすべて自分で行わなければいけないので、時間や精神面等に膨大な負担がかかります。
これらの負担を減らすために、弁護士に依頼することは重要な選択肢です。
しかし、弁護士に相談するとなると、弁護士費用が多額なのではないかと不安になる人もいるかもしれません。
そこで、保険で弁護士費用特約に加入していれば、自己負担なしで弁護士に相談することが可能です。
また、弁護士特約に加入していなくても、示談金が増額しもらえる賠償額が増えるため、弁護士費用を考慮しても弁護士に委任してもよいといえるでしょう。
街の無料法律相談会や、法律事務所の無料相談を利用すれば、実際に弁護士に委任する前に無料で相談でき、頼みたいと思ったら正式に弁護士に委任することができるので、ぜひそのような制度を利用してみてください。
いかがでしたでしょうか。
交通事故によって、人身損害を被り、示談交渉を進めるのには時間がかかります。
示談金を早く受け取りたいと考えても、示談交渉が成立しなければ示談金は受け取れません。
そこで、示談交渉が成立していない場合でも、その時点でお金を受け取れる制度があるのは、被害者にとってはメリットがありますよね。
示談金を早めに受け取りたい場合の対応方法について、ご参考になれば幸いです。
また、示談交渉を進める際には、被害者本人が交渉にあたるよりも、弁護士に委任して、交渉をすべて弁護士に任せることで、被害者本人の負担を減らすことができます。
これによって、被害者本人は治療に専念できたり、交渉にあたっていた時間を別の時間に使うことができたりと、弁護士に交渉を頼むメリットは多数あります。
示談交渉の進め方についての不安やトラブル、加害者加入保険会社が提示した示談内容についての不満等がある人は弁護士に早期相談をすることをおすすめします。
被害者自身に有利な示談交渉を成立させるために、じっくりと示談内容を検討し、さらに事故の怪我の治療に専念し、賠償金を得て不安のない生活を送れるようにすることが大切です。