交通事故で6ヵ月通院した場合の慰謝料について|慰謝料を増額するポイント

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交通事故で6ヵ月通院した場合の慰謝料について|慰謝料を増額するポイント

車は便利なものですが、鉄の塊が高速で移動しているようなものですので、事故にあったときの被害は大きなものがあります。

打ちどころや車の速度によっては、半年間通院しなければならない大けがを負う場合があります。

では、6カ月間通院することになった場合に、被害者が受け取ることができる慰謝料はどの程度でしょうか。

また、慰謝料を増額するポイントはどのようなものがあるのでしょうか。

慰謝料は3種類

交通事故の慰謝料とは、被害者が事故にあったことで受けた精神的損害を金銭で賠償する損害賠償金です。

民法709条は、故意過失により他人の生命、身体、財産に損害を与えた者はその損害を賠償する責任を負うと定めています。

また、民法710条は、損害は財産的なものに限らないとしているため、精神的損害も損害賠償請求の対象となります。

車を運転する人は道路交通法により安全に運転をする義務があります。

したがって、不注意な運転で他人を傷つけてしまった人は、被害者の損害を賠償する民事上の損害賠償義務を負うことになります。

損害賠償金の中には、積極損害とよばれる入通院費用、交通費、薬代などの治療にかかる実費を填補するもの、消極損害とよばれる休業損害や逸失利益など事故にあわなければ働いて稼げたはずの金銭を賠償するものもあります。

慰謝料は、通常これらの損害賠償金と合算して被害者に支払われることになります。

慰謝料には、3種類のものがあります。

1つ目は、入通院慰謝料といい、交通事故のけがを治療するために病院に入院通院をせざるをえなくなったことについての精神的損害を補填するためのものです。

2つ目は、後遺障害慰謝料といい、入通院によってけがを治療したにもかかわらず、一定の後遺症が残ってしまい、自賠責事務所という審査機関から後遺障害等級認定を受けた場合に支払われる慰謝料です。

後遺障害等級には1級から14級までが存在し、番号が若いほど症状が重篤という判断となるため、支払われる慰謝料も高額となります。

3つ目は死亡慰謝料となります。

交通事故で被害者が死亡してしまった場合、亡くなった本人への慰謝料と近親者への慰謝料が発生します。

以前は、亡くなった方には精神的ダメージは発生しえないので本人への慰謝料は不要と考えられていましたが、最近では、死の直前に極限までの精神的苦痛を味わったことへの補填は必要と考えられています。

実際には、亡くなった方は慰謝料を受け取ることができないので、被害者の相続人が慰謝料請求権を相続するということになります。

また、近しい家族を失った近親者のために、親、配偶者、子供については固有の慰謝料請求権が認められています。

慰謝料の請求基準は3種類

慰謝料を含む交通事故の損害賠償金額を計算するためには、3つの基準があります。

6カ月入院した場合の慰謝料の相場は、どの基準で算定するかによって異なりますので、以下解説します。

1つ目は自賠責基準といい、自賠責保険というすべての運転者に加入が義務付けられている強制保険に基づいて損害賠償金を支払う基準となります。

自賠責保険は、すべての被害者に最低限の保証をするという趣旨で設計されているため、1人ずつの被害者に支払われる金額は3つの金額の中でもっとも低い基準になります。

2つ目の基準は、任意保険基準といって、加害者が加入している任意保険会社ごとに定められている基準です。

保険の自由化の前は統一された基準がありましたが、現在では保険会社ごとに自由に定めてよいことになっており、基準は公表されていないため、保険約款などを確認しなければ正確な金額はわかりません。

しかしながら、だいたい自賠責基準よりは高く、弁護士基準よりは安いという中間の基準となります。

3つ目の弁護士基準は、過去の判例が集積されてつくりあげられた基準となり、弁護士が示談交渉を行うときや、示談がまとまらずに裁判になった場合に裁判官が判断をくだすときに参照される基準となります。

3つの基準の中ではもっとも高い基準となりますので、慰謝料を請求するときはこの基準で請求するようにしましょう。

入通院慰謝料の計算方法

自賠責基準での計算方法

まず、自賠責基準での計算方法ですが、日額4,200円に通院期間(病院に通っていた期間)または通院日数×2のいずれか短い期間を乗じて求めます。

『4,200円』×『通院期間(病院に通っていた期間)』
『4,200円』×『通院日数(病院に通った日数)』×『2』

任意保険基準での計算方法

次に任意保険基準での計算方法ですが、統一された基準はなく各社がそれぞれの基準によって定めていますが、目安としては下表のような数字となります。

保険の自由化の前に存在した統一基準の影響で、各社ともにそれほど大きな乖離がないので相場が算出できるともいえるでしょう。

(単位:万円)

入院の場合 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 7ヶ月 8ヶ月 9ヶ月 10ヶ月
通院の場合 25.2 50.4 75.6 95.8 113.4 113.4 128.6 141.2 152.4 162.6 170.2
1ヶ月 12.6 37.8 63 85.6 104.7 120.9 134.9 147.4 157.6 167.6 173.9
2ヶ月 25.2 50.4 73 94.6 112.2 127.2 141.2 152.5 162.6 171.4 176.4
3ヶ月 37.8 60.4 82 102 118.5 133.5 146.3 157.6 166.4 173.9 178.9
4か月 47.8 69.4 89.4 108.4 124.8 138.6 151.3 161.3 168.9 176.4 181.4
5ヶ月 56.8 76.8 95.8 114.6 129.9 143.6 155.1 163.8 171.4 178.9 183.9
6ヶ月 64.2 83.2 102 119.8 134.9 147.4 157.6 166.3 173.9 181.4 185.4
7ヶ月 70.6 89.4 107.2 124.3 136.7 149.9 160.1 168.8 176.4 183.9 188.9
8ヶ月 76.8 94.6 112.2 128.6 141.2 152.4 162.6 171.3 178.9 186.4 191.4
9ヶ月 82 99.6 116 131.1 143.7 154.9 165.1 173.8 181.4 188.9 193.9
10ヶ月 87 103.4 118.5 133.6 146.2 157.4 167.6 176.3 183.9 191.4 196.4

弁護士基準での計算方法

弁護士基準での慰謝料計算は、以下のような表に基づいて計算されます。

弁護士基準でむちうちの慰謝料を計算する場合は、レントゲンなど客観的に症状が確認できる場合と、そうではなく患者の自覚症状のみである場合によって、通院慰謝料の相場が異なることになります。

他覚症状があるもののほうが、慰謝料の相場は高くなります。

いずれにしても、自賠責基準や任意保険基準よりも高い金額となることがおわかりいただけると思います。

他覚症状がある場合の入通院慰謝料相場(単位:万円)

入院の場合 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院の場合 53 101 145 184 217 244 266 284 297 306 314 321 328 334 340
1月 28 77 122 162 199 228 252 274 191 303 311 318 325 332 336 342
2月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315 322 329 334 338 344
3月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319 326 331 336 340 346
4月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 316 323 328 333 338 342 348
5月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325 330 335 340 344 350
6月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327 332 337 342 346
7月 124 157 188 217 244 266 286 304 316 324 329 334 339 344
8月 139 170 199 226 252 252 274 292 308 320 328 333 338
9月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333 338
10月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335
11月 150 179 207 234 258 278 296 312 324 332
12月 154 183 211 236 260 280 298 314 326
13月 158 187 213 232 262 282 300 316
14月 162 189 215 240 264 284 302
15月 164 191 217 242 266 288

自覚症状のみの場合(単位:万円)

入院の場合 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院の場合 35 66 92 116 135 152 165 176 186 195 204 211 218 223 228
1月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199 206 212 219 224 229
2月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201 207 213 220 225 230
3月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202 208 214 221 226 231
4月 67 95 119 136 152 165 176 185 192 197 203 209 215 222 227 232
5月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204 210 216 223 228 233
6月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205 211 217 224 229
7月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206 212 218 225
8月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207 213 219
9月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208 214
10月 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209
11月 117 135 150 160 171 179 187 193 199 204
12月 119 136 151 161 172 180 188 194 200
13月 120 137 152 162 173 181 189 195
14月 121 138 153 163 174 182 190
15月 122 139 154 164 175 183

後遺障害慰謝料

むちうちは、頚椎の神経に大きなダメージを与えるものであり、神経系の損傷は、繊細な部位であるだけに後遺症が残ってしまうことがよくあるといわれています。

むちうち被害の場合、治療によっても完治せず、残念ながら長期にわたって耳鳴りや抑うつ、頭痛などの不快な症状に悩まされるということも多いようです。

むち打ちの治療をある程度続けて、治療によっても症状がこれ以上緩和されないという状態になった場合、主治医と患者の相談により症状固定という診断となります。

症状固定後に残ってしまった不調については、後遺障害等級認定申請を自賠責事務所に対して行い、後遺障害慰謝料を請求していくということになります。

なお、症状固定をすると、これまで加害者の任意保険会社から支払われていた入通院慰謝料の支払いは打ち切りとなりますので、症状固定の判断は慎重に行い、ご自身が納得いくまで治療を受けましょう。

後遺障害等級認定申請が認められた場合は、これまで受け取っていた入通院慰謝料にかえて、後遺障害慰謝料の受け取りが可能です。

後遺障害慰謝料についても、入通院慰謝料と同様、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準という3つの算出基準によって金額が大きく異なります。

また、後遺障害等級には1級から14級まであり、むちうちで認定される等級は14級または12級となりますが、この等級によっても受け取ることができる金額が異なります。

等級と基準ごとに計算される後遺障害慰謝料の基準は以下の表のとおりとなります。

自賠責基準と弁護士基準を比較すると2倍以上の開きがあり、いかに弁護士基準での請求が必要であるかということがわかるかと思います。

自賠責基準  任意保険基準 弁護士基準
第1級 1,100万円 1,600万円 2,800万円
第2級 958万円 1,300万円 2,370万円
第3級 829万円 1,100万円 1,990万円
第4級 712万円 900万円 1,670万円
第5級 599万円 750万円 1,400万円
第6級 498万円 600万円 1,180万円
第7級 409万円 500万円 1,000万円
第8級 324万円 400万円 830万円
第9級 255万円 300万円 690万円
第10級 187万円 200万円 550万円
第11級 135万円 150万円 420万円
第12級 93万円 100万円 290万円
第13級 57万円 60万円 180万円
第14級 32万円 40万円 110万円

慰謝料を増額するポイントとは

交通事故被害でむちうち症状を負った場合に請求することができる入通院慰謝料と後遺障害慰謝料について、3つの基準でそれぞれ計算した慰謝料相場について解説してきました。

入通院慰謝料にしても後遺障害慰謝料にしても、保険会社のいいなりにならず、きちんと弁護士基準で請求していくことが、妥当な慰謝料を得るために必要なことといえるでしょう。

それを踏まえて、交通事故でおったむちうちについての慰謝料を増額するポイントを、2つ紹介します。

まず1つ目として、保険会社との示談交渉は、交通事故の被害者の代理人となった経験値が豊富な弁護士に依頼し、弁護士基準で慰謝料を請求することが大切です。

前述のように、保険会社が提案してくる示談金は任意保険会社基準で計算されたものですので、被害者としてはより高い弁護士基準で増額交渉をしていくべきといえるでしょう。

しかしながら、弁護士基準はさまざまな場合分けによって適用となる金額が異なり一般人にはなかなか理解しがたいうえに、任意保険会社と一個人では交渉力やリソースが違うため、なかなか直接保険会社と交渉してよい結果を引き出すことが難しいといえます。

この点、交通事故案件に精通している弁護士は、保険会社かそれ以上に示談交渉に詳しいので、弁護士に依頼することにより、保険会社との交渉を有利に進められる可能性が高まります。

弁護士に依頼するとなると費用が気になる場合も多いと思いますが、被害者やその親族が加入している任意保険から弁護士費用特約といって、弁護士費用をカバーしてくれる特約が付帯していることがあります。

この場合、実質持ち出し額なしで弁護士のサービスを受けられるということも多いですので、ぜひご自身や同居のご親族の保険証券の内容を確認してみて下さい。

もう一つのポイントとしては、後遺障害が残った場合の後遺障害等級認定申請は、被害者請求という方法で行うべきという点が挙げられます。

後遺障害等級認定申請には、加害者の保険会社に手続きを代行してもらう事前申請という方法と、被害者自身が書類の用意をして手続きをする被害者請求の2種類の方法があります。

事前申請は、手続きをすべてお願いできるため手間が省けるというメリットはありますが、加害者の任意保険会社は後遺障害等級認定が高くなっても得をする立場にないため、どうしてもとおりいっぺんの処理となってしまいがちです。

それに比べると被害者請求では、被害者が工夫をこらした申請書類を用意することができるので、後遺障害の存在を思う存分主張立証できるというメリットがあります。

さらに、被害者申請を交通事故に詳しい弁護士にサポートしてもらうと、後遺障害の認定率が高まると考えられます、

交通事故案件に精通した弁護士であれば、効果的な後遺障害診断書の用意の仕方、他覚所見がない場合の補足テストなど、後遺障害等級認定をきちんと獲得するためのノウハウに精通しています。

後遺障害等級認定を行う自賠責事務所は、書面審査といって、被害者から提出された書類だけをみて等級認定をするかしないか、するとすればどの級に認定するかを判断します。

そのため、提出書類は非常に大切なもので、よく吟味のうえで提出されるべきものなのです。

さいごに

いかがでしたでしょうか?交通事故で6ヵ月入院した場合の慰謝料について、3つの基準ごとの相場がご理解いただけたかと思います。

慰謝料を増額するためには、弁護士に依頼すること、後遺障害等級認定申請は被害者申請で行うことという2つのポイントを押さえることが必要です。

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